【AI×エンジニア特集 vol.1】業界を揺るがす“黒船”がもたらすIT変革

2025.10.03
  • Trend & Vision

現代のビジネスシーンにおいて、もはやその存在を無視できなくなった生成AI。IT業界にとっても、その影響力は例外ではありません。時代の最先端で活躍するシステムエンジニア達は、AIをどう扱い、どのように向き合っていくべきか。そんな令和の時代にふさわしいテーマについて、生成AI活用のエキスパート・中村彰氏をお招きしお話を伺いました。今回も弊社代表・大橋を交え、カジュアルな対談形式でお届けいたします!

株式会社セック フェロー / 株式会社E-agent パートナー
中村 彰 Nakamura Akira

早稲田大学卒業後、株式会社セックに入社。システムエンジニアとしてスマートフォンマーケットの開拓やロケットのカウントダウン制御システム開発等に従事し、2019年から同社の取締役副社⾧に就任。米国子会社の立ち上げやマーケティング部門の統括に尽力する。2023年に取締役副社⾧を退任、その後は同社のフェローとしてAIチップの研究開発プロジェクトに参画。個人でも生成AIを活用した教育事業を手がけており、現役の技術者としてなおも活躍を続けている。

ふたりは“マブダチ”?

───:中村さん、実は弊社代表の大橋とすごく仲が良いと聞いたのですが。

中村:そうなんですよ。出会った頃はまだ私が前職の副社長をやっていた時代で、大橋さんもE-agentを立ち上げる前でしたね。私は自社で教育事業を統括していたのですが、そのクライアントとして出会ったのが彼でした。

大橋:私は当時パナソニックグループの人材会社に在籍していて、中村さんにはいろいろとお世話になりました。中村さんの教育スキームから学ばせていただくことは実に多かったですね。あと、人間的にもガッシリと意気投合しまして。笑

中村:フィーリングが合ったんですよね。たぶん、辿ってきた道が似ているというか、苦労してきた部分が似ているというか…あ、奥様に逆らえないところも。笑

大橋:そんな話までしちゃったら、もうマブダチですよね。笑 でも冗談抜きで中村さんのことはリスペクトしていて。とにかく自己研鑽のバイタリティが桁外れなんですよ。昔からずーっと現場で手を動かさないと気が済まない、根っからの技術者なんです。私が人材教育を依頼していた頃もそうで、中村さん自身が一人ひとりのメンバーに1on1で伴走するんです。上場企業の取締役副社長ですよ?もうちょっと現場から離れてもよさそうなもんじゃないですか。笑 私はそんなセンセーショナルなやり方を見て、中村さんがこれまで培ってきた膨大なナレッジと圧倒的なスタミナを垣間見た気がして震えましたね。ああ、この人はホンモノだ、ずっと色褪せない人なんだ、と。

中村:なんかいろいろと褒めていただいて…ありがとうございます。笑 大橋さんも昔からずっと正直な人で、私の心から信頼している人間のひとりです。昔も今も人材事業に携わっているだけあって、人を見る観察眼とコミュニケーションの的確さは素晴らしいと思います。だからこそ、E-agentともパートナーとして良い仕事ができているのかなと。出会うべくして出会った、まさにご縁ですね。

生成AIで企業の未来を支援

───:中村さんは生成AIを活用した事業を展開されていますが、その内容についてお伺いできますか?

中村:企業のDX部門やソフトウェア企業を中心に、生成AIを用いたDX化の取り組み支援を行なっています。人材育成、営業推進支援、技術研修、開発体制の構築などがメインですが、その他にも幅広い領域でお手伝いさせていただく機会がありますね。ただ技術を提供するだけではなく「課題解決」というところに重きを置いていて、成果が出るまで顧客と共に伴走するのが私のやり方です。私自身がソフトウェア企業で経営施策に取り組んでいたこともあり、そのノウハウも最大限に活用しながら総合的な支援を実施しています。技術屋でもあり、コンサルでもある…といった感じで、私という人間の集大成のような事業ですね。

特に教育・研修の分野は事業の主軸となっており、『生成AIブートキャンプ』という名称で6日間のセミナーをパッケージ化しています。これはソフトウェア会社が「生成AIを用いて顧客の課題解決を実現する」ことを目的として立ち上げた講座で、技術者から管理職層まで幅広いポジションの方がターゲット。もちろん講座内容も、参加いただく企業の課題感によってオーダーメイドで調整しています。「技術と市場の理解」・「基盤技術の習得」・「課題へのアプローチ」の3ステップで丁寧に進めていく形で、短期間で無理なく生成AIの基礎力を身に付けられるよう設計していますね。ちなみに最終ステップでは各社ごとの課題をヒアリングした上で、講師である私が実際に機能を試作したりもします。

大橋:E-agentも中村さんの支援を数多くいただいており、今では弊社にとって欠かせない存在です。これはほんの一例ですが、バックオフィスの業務効率がAI活用で飛躍的に上昇しました。メンバーも中村さんと対話する中で日々最新技術に関する知見を深めており、会社全体のリテラシーが大幅に向上した感覚がありますね。

───:トップ技術者としての知識と技術を惜しみなく提供しつつ、経営コンサルとして顧客の課題解決に寄り添う。まさに、中村さんにしかできない事業ですね。

生成AIは、業界を揺るがす“黒船”

───:中村さんは、なぜ生成AIという領域に着目されたのでしょうか?

中村:私は技術者なので、新しいテクノロジーには常に興味津々なんです。それまで技術者としていろいろな技術に触れてきましたが、人工知能はその中でも、ソフトウェアエンジニア自身が初めて自分の仕事が置き換えられてしまうという素材になりうるという点で一番ポテンシャルを感じました。生成AIに関しては、2015年頃から学習を始めました。当時はまだ「機械学習」という呼び方が主流でしたね。大学では統計学を専攻していたこともあって、そのあたりの知識とも相性が良かったんです。で、学び始めてみるとこれがすごい。人間ではないAIが、精度の高い予測もなんなくこなすんですよ。私はそれに無限の可能性を感じ、2017年頃にはもう本腰を入れてこの領域に自分の力を注ぎ込もうという気持ちになってましたね。

私は生成AIのことを、IT・ソフトウェア業界における「第二の黒船」だと思っています。第一の黒船は1970年代、世の中に普及し始めたインターネット。そのレベルの技術革新が、今まさに起こっていると感じます。

そんな期待感を胸に、仕事と両立しつつ生成AIのノウハウを独力で学んでいたのですが…気付けば還暦を迎えるほどの年齢に。自分のキャリアも最終コーナーに差しかかっていると考えた時、やりたいことをもっと全力でやりたいなと思いまして。それをキッカケに前社の取締役を退任して独立し、生成AIを活用した新たな事業をスタートしたんです。

実はその前に大学院でAIの学術的研究に取り組んだ時期もあったんですが、やはり私は大橋さんのおっしゃる通りどこまで行っても現場の技術者。教育スキームの構築やサービス開発を通じた実践的なアプローチの方が性に合っていました。これまで培ってきた知識・経験をすべて総動員しながら、新しい何かを創出していく…私のような人間にとって、こんなに楽しいことはありませんね。

───:やはり、天井知らずのバイタリティをお持ちですね。先見の明も含め、凄まじいです。

次回は実際に中村さんが手がけている事業内容をさらに深掘りしながら、対談の続きをお送りしたいと思います。vol.2の公開をお楽しみに!

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